学校の授業以外で歴史を学ぶ、という経験をした方は実際殆どいないと思います。歴史に関しては日本史、世界史に関わらず、能動的に学ぼうとしない限りなかなか接する機会が無い、というのが現状です。でも、だからこそ自分の好み、自分のペースで歴史を学んでいくことができる、と言ってもいいのかと思います。
読書で学ぼう
歴史を学ぶのに書物以上のものは過去にありませんでしたし、未来は…わかりませんが、少なくとも現代ではないと言ってもいいでしょう。そして多くの歴史に関する文献が存在していますが、しかし専門的な歴史書を読むとなると少し敷居が高いと思う方もいるはずです。
そこで、ここでは史実に基づいた歴史小説を書く作家を紹介します。小説はあくまでも小説ですが、歴史についての興味を深め、そして実際の歴史を学ぼうという意欲に繋がっていくものなのです。
司馬遼太郎:日本の歴史小説の大家、と言えばやはりこの人を措いて他にはいません。代表作である「竜馬がゆく」を読んで坂本龍馬について興味を持った方は、それこそ星の数程いるはずです。また「竜馬がゆく」はドラマや漫画にもなっているので、そちらでご覧になった方も多いかと思います。
もちろん他にも多くの有名な作品があり、北辰一刀流の開祖、千葉周作を書いた「北斗の人」。幕末を駆け抜けた新選組の副長であり、箱館は五稜郭で最後まで新政府軍と戦ったあの土方歳三を書いた「燃えよ剣」。そして明治維新を経た日本が、欧州列強に伍していった時代を書いた「坂の上の雲」。これら以外にも沢山の歴史小説を書き残した司馬遼太郎の作品は、歴史を学び始めるための格好の教材です。
塩野七生:日本史の次は西洋史に移りましょう。塩野七生は、イタリアを中心とする西洋史を題材とした小説の大家です。女性ならではの細やかな人間描写が特徴で、代表作としては単行本としては15冊、文庫本としては43冊にも及ぶ大長編小説「ローマ人の物語」があります。
しかしこれは流石に長すぎる、という方には「コンスタンティノープルの陥落」に始まる地中海戦記三部作をお勧めします。物語は15世紀、オスマン帝国によって東ローマ帝国の首都コンスタンティノープルが陥落した事件に始まり、その後西欧キリスト教国が反撃を行うまでの物語です。
歴史書としても十分読み応えがあるだけではなく、人々が織りなすドラマが細かく描かれた小説としても傑作と呼べる作品です。日本人にとって余り馴染みのないヨーロッパの歴史を学ぶには最高の作品の一つです。